商標登録を受けるためには、特許庁に商標登録料を納付する必要があります。また、商標登録は10年ごとに更新登録料を支払うことで更新することができます。今回、これらの料金が増額改定となりましたので、関連する制度の解説と共にご案内致します。
目次
- 商標権は商標登録によって発生する
- 商標登録は10年間の存続期間がある
- 商標登録は10年ごとに更新することができる
- 商標登録料と更新登録料は5年ごとの分割納付ができる
- 2022年4月1日で料金がどう変わるか
商標権は商標登録によって発生する
商標の保護は、使用によるものではなく、登録を受けることによって開始します。
商標権が商標登録という行政処分を原因として発生するものであるためです(商標法第18条第1項)。
つまり、ご自身の商標を法的に保護するためには、商標登録を受ける必要があります。
商標登録を受けるためには、特許庁に商標登録出願を行い、審査を通過して登録料を納付することが必要です。
他人による無断使用を排除することができるのは大切なことですが、何よりも他人から文句を言われることなく安心して商標を使い続けられることに、商標登録の一番のメリットがあるといえます。
商標登録は10年間の存続期間がある
そんな商標登録ですが、一旦登録を受ければ未来永劫保護されるのかというと、定期的なメンテナンスを受けさえすれば、という条件付きのものとなります。
商標登録の存続期間は10年間と定められており(商標法第19条第1項)、存続期間満了前6ヶ月の期間内に更新を行うことができます(商標法第20条第2項)。
この更新手続を期限までに行わないと、商標登録は抹消され、商標権も消滅することになります。
更新手続は、存続期間経過した後6ヶ月以内であれば追加費用を納付することで何事もなかったかのように10年の更新が認められますが、追加費用は更新登録料と同額ですので、つまり料金が2倍になります。
できるだけ存続期間内に手続きを行うようにしましょう。
商標登録は10年ごとに更新することができる
こうして、商標登録は10年ごとに更新を行うことで、半永久的に存続させることが可能です。
実際、100年以上存続している商標登録というのも存在していますので驚きですね。
この10年という期間は、世界的にもほぼ統一されていて、多くの国で10年ごとに更新を行うことで、商標登録を半永久的に存続させることが可能です。
ただし、存続期間の計算が日本は「登録日から10年」ですが、国によっては、「出願日から10年」という国もありますので、注意が必要です。
またまれに、10年とは異なる期間で計算される国があります。外国に出願する時には確認を行うようにしましょう。
商標登録料と更新登録料は5年ごとの分割納付ができる
日本では、商標登録は10年ごとに更新を行うことができますが、登録料は、5年ごとに分けて納付することが認められています。
分割納付を行うことで、当面の費用を抑えることができますので、短期的に運用するブランドの場合に活用することが多いです。
しかし、重要なブランドについては、5年で使わなくなるということもないでしょうから、トータルのコストを考えて、10年で納付することが良いと言えるでしょう。
2022年4月1日で料金がどう変わるか
以上、商標権の発生と、商標登録の存続期間、その更新についてお伝えしてきました。
特許庁には、出願の段階、登録の段階(分割納付の場合、後期分の納付の段階)、更新の段階でそれぞれ料金を支払うことになります。
今回改定となるのは、出願の段階以外の料金で、軒並み増額となります。
商標登録料は4,700円、更新登録料は4,800円の増額(共に10年の場合)なので、区分数が増えるとそれなりの金額になってきます。
改定の前後の金額は以下の通りです(いずれも1区分あたりの金額)。
項目 | 改定前金額 (旧料金) | 改定後金額 (新料金) |
商標登録料 | 28,200円 | 32,900円 |
分納額(前期・後期支払分) | 16,400円 | 17,200円 |
更新登録申請 | 38,800円 | 43,600円 |
分納額(前期・後期支払分) | 22,600円 | 22,800円 |
防護標章登録料 | 28,200円 | 32,900円 |
防護標章更新登録料 | 33,400円 | 37,500円 |
基本的には、納付した日が2022年4月1日より前であれば旧料金が適用され、同日以降であれば新料金が適用されます。
今から新たに商標登録出願を行う場合、通常であれば間に合うものではありませんが、早期審査の請求を行い、これが認められれば旧料金での登録の可能性も残されています。
当事務所では、2022年1月1日〜同月15日までにご依頼いただいた案件について、条件を満たす場合には無料で早期審査請求をお引き受けしておりますので、ご興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
また、更新についても、存続期間が満了となる6ヶ月前の間に手続が可能ですので、更新を控えている方は、3月31日までに手続を行うことが良いでしょう。当事務所でも手続可能ですので、お気軽にご相談ください。
<<お問い合わせはこちらから>>
この記事の内容について詳しくお知りになりたい方は、
以下のボタンからお気軽に当事務所までご連絡ください。