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106:「◯◯の日」を商標目線で考える|記念日の名前は商標登録ができるのかについて

本日、5月7日は、5(コ)・7(ナ)と言うことで、「粉の日」、転じて「コナモンの日」となっています。コナモンと言うと、たこ焼き・お好み焼き・うどんなどが挙げられますね。このように、日にちにちなんで「◯◯の日」とされている例というのは、思いつくだけでもそれなりに挙がってくるのではないでしょうか。

さて、こうした「◯◯の日」というのは、単に記念日としての意味合いだけではなく、何らかの商品やサービスの目印として使用する場合には、「商標」となります。商標となる以上は、商標登録を受けておかないと、商標トラブルに巻き込まれる(または商標トラブルを引き起こす)ことに繋がりかねません。

ここで、なんで記念日の名前が商標なのか?と思われたかもしれません。しかし、「辞書にある言葉などの既成語であれば商標にならない」というのは、よくある誤解の一つです。「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるものであって、商品やサービスの目印として使用されるものを指すとされています(商標法2条1項参照)ので、他の商品・サービスと区別することができる性質がありさえすれば商標として機能するものとなります。商標として機能するということは、商標登録を受けられるものであるということですから、ご自身が何もしていないと知らぬ間に他人が商標登録を受けてしまい、商標権が他人のものとなってしまいかねません。

「◯◯の日」というのは、その記念するモノ・コトを積極的にPRしようという日ですから、つまりは特定の業種における書き入れ日ということになります。ですから、「◯◯の日」というのを、商品のPRの際に用いるというのはしばしばなされることであり、ひいては、商標法上の「商標の使用」に該当する可能性が高いということになります(商標法2条3項参照)。

では、「◯◯の日」というのは、どれくらい商標登録されているのだろうか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、特許庁のデータベースを見てみると、これまでに「◯◯の日」で出願・登録されたものは全部で725件(失効・拒絶のものも含む。)記録されており、現在有効な出願・登録だけでも435件記録されています(2022年5月7日現在)。1年間は365日ですので、かなりの件数というのはイメージがつくのではないでしょうか。

日にちにちなんだものとしては、例えば、「09の日\ワークの日」とか「3月12日\サイフの日」とかいう商標登録が見つかります。

「一般的に使われている言葉を商標登録することは言葉狩りになってしまうからけしからん」などといった趣旨のお話を見聞きすることもありますが、商標登録は「指定する商品・サービスとの関係で、商標として独占的に使用することができるかどうか」の問題であって、登録された言葉を誰も発してはいけないというものではありません。商標の機能と登録の意義をしっかりと理解して、安心してビジネスを進めていって頂けたらと思います。


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