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016:【初心者向け】商標権の存続期間は10年です。更新期限をお忘れないように

「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。

さて、今日のお題は「商標権の存続期間は10年-更新期限をお忘れないように」です。

商標権は、商標が特許庁で登録されると発生します。商標が登録されるためには、特許庁に願書を提出して、無事に審査を通過した後に、特許庁に登録料を納付することが必要です。

では、登録料を納付したら、あとは放置で大丈夫でしょうか。

目次


  • 存続期間は10年間!更新手続きをお忘れなく
  • 更新し忘れてしまった場合の救済措置はあるにはあるものの・・・
  • 存続期間や登録料の納付は国によってルールが異なる

存続期間は10年間!更新手続きをお忘れなく


商標権の存続期間は、10年間となります。登録料は、一括して納付することもできますし、前期と後期で分割して納付をすることができますが、10年には変わりがありません。

一括納付の場合、1区分あたり28,200円で、分割納付の場合には前期と後期でそれぞれ16,400円です。分割納付の場合には、合計で32,800円となりますので、一括で納付した方が、合計としては4,600円安くなります。

ちなみに、この料金は、2022年4月1日に改定されることが決まっています。

一括納付をする場合の商標登録料は、1区分あたり28,200円のものが1区分あたり32,900円になります。

分割納付をする場合の商標登録料は前期・後期それぞれ、1区分数×16,400円のものが1区分あたり17,200円になります。

合計が34,400円ですので、一括納付とした場合との金額差が縮んでおり、お得感は若干減るのかもしれません。

この料金改定に伴い、商標登録を更新する場合の費用も変わりますので、詳しくは以下のリンクをご参照ください。

産業財産権関係料金の見直しに対する意見募集について|特許庁

特許庁に登録料を納付すると、1ヶ月かからないくらいで登録証が送られてきます。

紙の登録証を発行する国は随分と減りましたが、日本はいまだに紙の登録証を発行しています。

とはいえ、額に入れて飾っているような事例を散見されますので、ある程度のニーズはあるのだと思います。

ご注意いただきたいのは、登録証には次回の期限というものは書いていないということです。

商標権は、上で説明しましたように、10年間の存続期間が定められています。

登録料を一括で納付したか分割で納付したかにより、5年または10年ごとに手続きを取らないと、商標登録が失効してしまい、商標権が消滅してしまいます。

このため、ご自身で管理をされる場合には、5年後あるいは10年後の予定に入れておく必要がありますので、注意が必要です。

更新し忘れてしまった場合の救済措置はあるにはあるものの・・・


うっかり、分割納付をした場合の後期登録料や更新登録料を納付し損なってしまった場合、直ちに商標登録が失効するかというとそうではありません。

その期限から6ヶ月以内であれば、何事もなかったかのように商標登録は存続し続けます。ただし、料金が2倍になってしまいますので、期限までに納付することが重要と言えます。

その6ヶ月の期限すらも過ぎてしまった場合にも、救済措置はありますが、要件が厳しく、現実的ではありません。

こうなってしまったら、新たに商標登録を受けるために出願をして、イチから審査を受けることになります。

他人の商標登録出願が先に入り込んでいた場合、取り返すことができる見込みは低くなってしまいますので、更新期限の管理はしっかりと行いたいものです。

ご自身で管理することが難しいという場合には、当事務所までご相談いただければ幸いです。

存続期間や登録料の納付は国によってルールが異なる


上で記載したことは、日本の実務のお話です。

存続期間は、10年の国が多いですが、例えばマカオやバングラディシュのように7年という国もあれば、ネパールのように14年という国もあります。カナダは、法改正前は15年となっていました。

また、日本では特許庁に対して支払う手数料が出願時と登録時で分かれていますが、登録時の料金納付が必要な国ばかりではありません。

近場ですと、韓国・台湾は登録時に料金納付が必要ですが、中国・香港は登録時に料金納付は必要ありません(審査通過後や登録時に現地代理人の手数料が発生する場合はありますが、これは各代理人の事務所の料金体系によります)。

EUや米国、ニュージーランドも登録時の料金納付は要求されていません。

さらに、登録時に料金納付を要求する国のうちで、その登録料を分割して納付することができるという国は、一層限られます。日本以外には、韓国くらいでしょうか。

展開しようという国により実務が異なるので、信頼できる日本の弁理士に依頼することが成功の秘訣と言えます。


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