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029:【一般向け】中国における知的財産権侵害や模倣品の取り締まり実績を発表(2021年上半期)

「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。

さて、今日のお題は「中国における知的財産権侵害や模倣品の取り締まり実績を発表(2021年上半期)」です。

以前に、「019:中国税関が差し押さえた知的財産権を侵害する貨物が累計で28億点に」という記事でも触れましたが、中国は、知的財産権の侵害や模倣品の取り締まりに力を入れています。

過去記事はこちらからどうぞ|019:中国税関が差し押さえた知的財産権を侵害する貨物が累計で28億点に

目次


  • この半年で14,400件もの商標権侵害の取り締まり
  • 商標権を侵害するとの疑いをかけられて摘発を受けないためには
  • 中国での商標登録までには最短でも9ヶ月

この半年で14,400件もの商標権侵害の取り締まり


2021年9月16日付けの中国・国家市場監督管理総局の発表によれば、この半年間で、市場監督部門の取り組みにより、15万件もの処理実績が挙げられ、市場の経済秩序の維持や良好なビジネス環境の構築が達成されたとのことです。

商標権侵害については14,400件の取り締まりがなされ、また、侵害や偽造が多くなされている市場において、40,000件以上もの強制的な措置が執られたとのことです。

中国は、権利行使の手段として、民事上のものと刑事上のものの他に、行政上の取り締まり(いわゆる摘発)というものもあります。

日本と簡単に比較することはできませんが、おおよそのイメージを掴んで頂くため、日本の検察庁におけるの取り扱い事件数を見てみましょう。

検察統計年報によると、平成元年〜30年の間に、商標法違反で起訴された人数と不起訴になった人数の合計が14,386人であるとのことです。

そうと考えると、わずか半年でほぼ同程度の件数の商標権侵害の取り締まりがなされているというのは、桁が違うということのイメージは持って頂けるのではないでしょうか。

中国・国家市場監督管理総局ウェブサイト(中国語)

商標権を侵害するとの疑いをかけられて摘発を受けないためには


上記の件数の内訳は開示されていませんが、中国人ばかりが対象というわけではないでしょう。

中国国内で事業を行う中で、他人の知的財産権を侵害していると判断される場合には、突然摘発を受けるという事態も想定されます。

そうした事態にならないためには、まず自分が使用する商標について、きっちりと登録を受けておくということが大切です。

そうすれば、知らぬ間に誰かに権利を取得され、権利行使を受けるリスクをなくすことができます。

ここで「きっちり」というのは、ケースバイケースですので、一概には言えませんが、使用している商品・サービスが網羅されているか、登録を受けていない商標がないか、といったところを洗い出して、全てクリアにしておくということが大切です。

何も中国に限ったことではありませんが、海外で事業を行うということは、国内で事業を行うことよりもハードルが高いとされます。

また、一旦トラブルに巻き込まれると、その解決のために何倍どころか何十倍もの労力・時間・資金を投じることにもなりかねません。

日本には「転ばぬ先の杖」という諺がありますが、海外進出には、まさにこの諺が当てはまると言って良いでしょう。

中国での商標登録までには最短でも9ヶ月


最近の中国における商標登録の審査には、概ね6ヶ月を要しています。

無事に審査を通過すると、そのあと更に3ヶ月間、一般に向けて「この商標を登録しても良いか」という意見提出のための期間(業界では「異議申立期間」とか、「公告期間」と呼んでいます。)が設けられます。

ここで誰からも意見が出てこなかった場合に、ようやく商標登録となります。このため、出願をしてから商標登録を受けるまでには、最短でも9ヶ月は必要となります。

登録証が発行されるには、実際はもう少しかかりますので、10ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。

ただし、この期間は、審査で何も指摘が入らなかった場合のことですので、注意が必要です。

もし審査で何か指摘事項が入ると、追加で1年くらいが必要になります。

結局、中国で事業を行おうと思った時には、早々に商標登録に向けて出願を行い、実際に事業を行うタイミングでは、商標登録を受けている、という状態になっているように手配をしておくというのが、確実かつ安全ということになります。

今現在は中国でもビジネスを考えていないという場合でも、自社のブランドを他人に取られてしまわないように商標権だけは取得しておくというのも一策です。

各種助成金も用意されていますので、ご興味のある方は当事務所までご相談ください。


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