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031:【事業者向け】マスコットキャラクターを作った時の著作権・商標に関する注意点

「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。

さて、今日のお題は「マスコットキャラクターを作った時の著作権・商標に関する注意点」です。

企業や各種団体などのPRを目的として、マスコットキャラクターを作るということは少なくありません。

ですが、ここに知的財産の観点から、何か問題点は潜んでいないでしょうか。

目次


  • 内製か、外注か、公募か
  • 著作権をもらう?著作物を借りる?
  • 著作権をもらったら好き勝手に使っていい?
  • 商品やサービスの目印にする?

内製か、外注か、公募か


マスコットキャラクターの作り方は、大きく3つの方法があると言えます。

一つ目が、社員や職員に作ってもらう「内製」です。

二つ目が、外部委託をして作ってもらう「外注」です。

三つ目が、一般に募集をかける「公募」です。

内製である場合、それが著作権法上の「職務著作」に当たるのか当たらないのかで、著作者・著作権者が誰になるかが変わってきます。

社長や上司が部下に頼んだら全て職務著作になるかというと、そうではありませんので、要注意です。

また、外注と公募の場合には、外部の人や企業との関係になりますので、著作権の扱いについて契約で取り決めをしておかないと、後でトラブルになるのが世の常です。

著作権をもらう?著作物を借りる?


著作権は、著作物を創作した時点で、創作した人に帰属します(前述の職務著作の場合はその人の属する企業や組織。)。

このため、外注の場合には、委託先で職務著作が成立すればその企業が著作者かつ著作権者になります。

公募の場合、個人で応募することが多いでしょうから、多くはその制作をした個人が著作者かつ著作権者になります。

著作権は、誰かにあげることも貸すこともできます。裏を返すと、権利もなく、借りもせずに著作物を使ってしまうと、著作権侵害になります。

著作権をもらうのか、それとも著作物を借りるのかというのは、どちらにするかで方向性がまるっきり変わりますので、最初に検討しておく必要があります。

著作権は、単一の権利ではなく、複数の権利がまとまった「権利の束」とも言われますので、もらうにせよ借りるにせよ、どの範囲とするかも大切なことになります。

著作権をもらったら好き勝手に使っていい?


仮に著作権をもらうことにしたとしましょう。

では、著作権は自分のものなので、その著作物はどのように使っても良いのでしょうか。

例えば、男の子モチーフを女の子モチーフにしたり、着せ替えをしたり、はたまた3頭身のマスコットキャラクターをキャラクターを8頭身にしてみたりといった改変というのも考えられます。

しかし、著作権を持っているからなんでも許されるかというと、必ずしもそうではありませんので、注意が必要です。

著作権をどの範囲でもらったかということもポイントになりますし、著作者が有する著作者人格権(特に同一性保持権)というものも関係してきます。

単に著作権をもらったというだけでは、後で「そんなふうに使ってもらうつもりはなかった」というように、トラブルになる可能性が潜んでいます。

しっかりと希望する契約条件を伝えた上で、両者合意をして契約を結んでおくというのが大切です。

商品やサービスの目印にする?


また、マスコットキャラクターを商品などのパッケージに用いることで、売り上げアップが見込まれるということもあるでしょう。

この場合、マスコットキャラクターは商品やサービスの目印になります。商品やサービスの目印のことを「商標」といい、商標登録を受ける必要があります。

商標登録を受けることなくそれを使っていたところ、似た商標についての商標権を持っている人から権利行使を受けるということもなきにしもあらずです。

マスコットキャラクターを商標として使う場合にありがちなのが、その商品やサービスがヒットしたときのトラブルです。

マスコットキャラクターを作った本人としては、自分に一円も入らないのが面白くありませんので、「著作権はあげていない」というように主張してトラブルになるパターンです。

外注にせよ公募にせよ、将来のことを予想して、契約をきっちり結んでおくことが大切といういい例ではないでしょうか。


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