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035:【事業者・士業向け】既に他人の商標登録があったときの対応方法

「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。

さて、今日のお題は「既に他人の商標登録があったときの対応方法」です。

使いたい商標があったときに、商標調査をしたり、特許庁の審査を受けたところ、他人の商標登録が既にあったという場面に出くわすことは少なくありません。

では、こうした場面では、何か対応策はないのでしょうか。

目次


  • 対応方法は大きく分けて6つある
  • 1. 反論する(争う)
  • 2. もらう(譲り受ける)
  • 3. 借りる(許諾を受ける)
  • 4. 協力してもらう(アサインバック)
  • 5. 潰す(取り消す・無効にする)
  • 6. 変える(商標を変更する)

対応方法は大きく分けて6つある


既に他人の商標登録があったといっても、その状況がどのステージかによって、できることとできないことがあります。また、その他人の商標登録の内容次第でも、どのように進めるかの方針が変わってきます。

このため、対応策といっても、状況や程度に応じていくつか考えられますが、概して、反論する・もらう・借りる・協力してもらう・潰す・変えるの6つが挙げられると言えるでしょう。

では、これらの6つは一体どういうものなのでしょうか。ざっくりと見ていきたいと思います。

1. 反論する(争う)


これは、主に特許庁の審査官から拒絶理由通知を受け取った場合の対応策です。商標は、商標そのものと商品・サービスがともに類似する場合、類似商標だということになります。

特許庁の審査官が似ていると判断をしたとしても、意見書を通じて反論をして拒絶理由を解消することができる場合が少なくありませんので、拒絶理由通知を受け取っても、諦めずに反論してみることがまず考えられます。

2. もらう(譲り受ける)


反論をしてみても成功しなかった場合や、そもそも成功可能性た低いと見積もられる場合、引用された商標のオーナーに連絡を取り、商標権をもらえないかと交渉をしてみることがあります。

実際に使用されている商標である場合には、交渉は容易ではありませんが、場合によっては応じてもらえることもありますので、反論が難しいような場合には、こうした方策もオプションの一つにはなると言えます。

3. 借りる(許諾を受ける)


商標権をもらうことが難しいという場合、それでもなんとか自分の商標の使用を継続したいというときもあるかと思います。こうした場合、先方に、自分の商標の使用を許諾してもらえないかと交渉することもあります。

商標権は財産権であり、他人の無断使用を排除できる強い権利ですが、商標権者が権利行使をしないと言えば、引用された商標のオーナー(商標権者)との関係では安全に商標の使用の継続が確保できます。

4. 協力してもらう(アサインバック)


引用された商標のオーナーが、あなたの商標の登録について協力をしてくれる場合には、協力を受けてあなた名義の商標登録を獲得することが可能です。

5. 潰す(取り消す・無効にする)


他人の商標について、争うことも交渉することも難しいような場合、どうすることができるでしょうか。その登録の内容や状況次第では、その登録を取り消したり、無効にしたりして、抹消する(潰す)ことができる可能性もあります。

具体的には不使用取消審判や不正使用取消審判、商標登録異議申立、商標登録無効審判という手段が考えられます。それぞれ、提起のための要件が決まっていますので、できることとできないことがありますので、個別のケースに応じて検討が必要です。

6. 変える(商標を変更する)


以上の方策によっても解消できない場合、残念ながら別の商標に変更するという方向で検討を進めることが賢明ということになります。

交渉をしているのであれば、あなたの存在は既に気がつかれていますし、無断で使用していると商標権侵害となります。差し止め請求や損害賠償請求を受けないためにも、早急に商標変更を進める必要があります。

変更するというと、なんだか負けたようなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、争ったり交渉したりして時間とコストをかけるより、より安全に早期に登録できるブランドに変えてしまうというのも、事業戦略的には良いという場合もありますので、ネガティブなことばかりではありません。


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