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054:【受験生向け】弁理士試験に独学で合格した話③「一発ずつ合格までの大まかな流れ」

1日開きまして、独学合格のお話の続きを書いていきたいと思います。前回までの記事は次の通りです。一応続きものなので、まだの方は、宜しければご覧ください。

さて、前回の記事で、僕は、試験には「一発ずつ合格した」と表現していると書きました。これについて書いていきたいと思います。

目次


  • 合格までの経緯|「一発ずつ合格」とは
  • 願書を出してからが本番
  • 2年目もやっぱり願書を出してから・・・3年目に至っては梅雨明けからが本番に
  • 何をやって、何をやらないか
  • 何を目指すか、目指しているものがどれほどのものかを認識することが大切

合格までの経緯|「一発ずつ合格」とは


この一言だけでは、今ひとつ伝わらないかもしれませんので、まず、僕がどういう経緯で合格したかをお伝えします。

まず1回目の受験の時に、短答式試験と論文式試験の選択科目(民法)に合格しています。

そして、2回目の受験の時には、論文式試験の必修科目(特許法・実用新案法・意匠法・商標法)に合格しています。

最後、3回目の受験の時に、残っている口述式試験に合格して、最終合格ということになっています。

合格の経緯としては以上の通りです。言い訳と言ってしまえばそれまでですが、この間、仕事のピークが毎年(うまく?)ズレてくれて、このため、それぞれの年でちゃんと勉強できたのが、それぞれの直前期だけでした。

受かってしまえばという話ではありますが、ある意味ラッキーだったかもしれません。いずれにせよ、こうした経緯で、3年をかけて僕は1発ずつ受かりました。

とはいえ、仕事のピークを避けながら直前期だけの勉強で受かったのか?しかも独学で?というのは気になるところかと思いますので、この点を書いていきたいと思います。

願書を出してからが本番


改めて整理しますと、(2021年度はコロナの影響で開催時期がズレていますが)弁理士試験は、4月の初めに願書を提出し、まず5月下旬に短答式試験が実施されます。次に、その合格者を対象に論文式試験が実施され、日程は7月上旬にの必須科目、7月下旬に選択科目となっています。これを乗り越えると、最後、10月下旬に口述式試験が実施されます。

願書を提出すると、いよいよ受験をすることが決まります。受験料は12000円ですので、結構馬鹿になりません。受けるからにはちゃんと受かりたい。きっと多くの方はそう思われるでしょう。僕も漏れなくそのクチですが、しかしあまり長期にわたって根を詰めて勉強をするというのが、実はあまり得意ではありません。自称「短期集中型のスプリンター」だという設定にしていました。

こういうタチですので、最初の短答式試験の受験の時は、願書を提出するまではだらだらと入門書などを読んだり、条文の塗り分けをしていました(詳しくは別で書きます)。

願書を提出したら、残り1ヶ月半です。いよいよお尻に火がつくわけですが、どうするか。詳しくは別で書いていきますが、徹底的にやることを減らして、最短距離で合格を目指していきました。

短答式試験が終わりますと、1ヶ月少々で必須科目の論文式試験が待っていますが、当時のお仕事の都合から、早々に合格を断念しました。代わりに、7月下旬の選択科目に焦点を合わせます。1科目で、しかも一度合格してしまえば以降はずっと免除ですから、ある意味コスパがいいと考えたわけです。とはいえ、お仕事が落ち着くのは7月に入ってからでしたので、実質的に準備できたのは3週間程度だったかと思いますが、なんとか無事に合格しました。

これが、1年目の大まかな流れです。

2年目もやっぱり願書を出してから・・・3年目に至っては梅雨明けからが本番に


1年目の受験が7月下旬に終わりますと、早々に来年に向けて・・・というのは受験界のセオリーですが、僕はそうしませんでした。長期間勉強を続けることはできませんでしたので、いっそ忘れてしまうくらいほったらかしにしました(実はほったらかすことにもメリットがあると考えています。)。

年が明けると、いよいよ今年は必須科目の論文だなという気分になるので、少しずつ勉強を始めますが、実際あまり身が入りません。やはりと言いますか、結局のところ、願書を出すことでスイッチが入ります。論文式試験の必須科目の日まで正味3ヶ月ですので、この間で一気に仕上げます。

短期間での準備ですから、ある程度の割り切りも必要です。正直言って、勉強が満足に終わらなかった分野もありました。しかし、満点を取ることが必要な試験ではなく、受験者の中である程度上位に入り込めば大丈夫というものですから、余り重箱の隅をつつくような勉強はしませんでした。

3年目(口述式試験)に至っては、4月願書は出したとしても、10月下旬の実施ですから、半年以上先の試験になります。大方の予想通り、本腰を入れるまでには時間がかかりました。実際は、梅雨が明けるくらいの頃に、そろそろ本気を出さねばという気になり、やはり3ヶ月程度で仕上げました。

何をやって、何をやらないか


大まかな時間軸で書いてみますと、以上のような流れとなります。結局、本気を出して勉強したのは、延べ8〜9ヶ月程度だったのではないでしょうか。こんなことを書くと、テクニック重視か?とか、ちゃんと基本書を読んだのか?というような、様々なご意見も出るかもしれません。

確かに、もう絶版になっているような基本書を穴が開くほど読んで・・・というのは、大先輩の弁理士先生のお話として伺うこともあります。

しかし、専業受験生であればともかく、働きながら資格試験を目指そうという方にとって、伝統的な勉強法を愚直に追求して基本書を読み漁るというのはどれほど大切でしょうか。第一、過去問の解説に出てくる「基本書」と呼ばれるものは、どれも絶版本で、そう簡単に手に入るものではありません。

さらに、入手困難な基本書を熟読したとして、それはもちろん肥やしにはなるのですが、合格に直結するかと聞かれると疑問です。自分がどれほど努力したかを答案に書ければいいのですが、それはできませんので、形にこだわる必要はないのではないでしょうか、というのが僕の意見です。

難しいことにチャレンジするというのは、とても刺激的なことだと思いますが、実態以上に過大評価すると、本質を見落とします。僕としては、省エネで乗り切れるものであれば、省エネの方が良いのだろうと思います。そのためのテクニックも、ある程度は必要でしょう。

実務に必要な勉強は、合格してから、ないしは実務についてからでも遅くはありません。実務修習もありますし。まずは最低限のことをやって、まずは合格する。これが何よりも大切です。合格するかしないかでは、本当に雲泥の差がありますよ。

とはいえ、どのようにやることとやらないことを取捨選択をするかというのは、判断が容易ではありません。

何を目指すか、目指しているものがどれほどのものかを認識することが大切


結局のところ、資格試験というのは、実務家として最低限知っておいて欲しいことを網羅的に問い、ある程度知っていればよしとするものですから、合格をした地点というのは山の頂上でもなんでもなく、実務家としてのスタート地点(=麓)に立ったに過ぎません。

資格試験というのは、もちろんハードルは低くはないのですが、所詮そんなものです。ここを履き違えると、一生受からないかもしれませんし、受かった先にもっと高い山が延々と続いていることを知っておかないと、合格して燃え尽きちゃうかもしれません。

如何にして労を少なくして合格を勝ち取るか。働きながら挑戦する以上、時間は限られますので、この視点はとても重要になってきます。僕は、正真正銘の「一発合格」ではありませんので、これを目指している方からすれば、僕の発信する「一発ずつ合格」の情報はちょっとニーズ違いかもしれません。

しかし、仕事をしながら勉強をするというのは、やってみるとなかなかに大変です。仕事に波があるけれども資格試験に挑戦したい!一歩ずつでも前に進みたい!そういう方にとっては、きっと役に立つ情報をお伝えできるのではないかと思います。働いている以上、合格に多少時間がかかっても、大きな痛手ではないですからね。

好き嫌いや良し悪しはあるかもしれませんが、ご自身の置かれた状況と求めるものに合わせて必要な情報を活用していく、これが資格試験合格に必要なことではないでしょうか。


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