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090:【個人・事業者向け】日本と中国の商標制度の違い(後編:実体審査〜登録)

昨日の記事で、出願準備段階から実体審査に入る前までの、日本と中国の実務の違いについてお伝えしてきました。

今日は、実体審査に入ってからの違いについてお伝えしていきたいと思います。

目次


  • 中国では出願してから4〜5ヶ月で実体審査結果が出てくる
  • 中国では審査官に説明したり反論したりすることはできない
  • 中国では審査を通過すると異議申立のための期間に入る
  • 中国では登録料の納付は必要ない

中国では出願してから4〜5ヶ月で実体審査結果が出てくる


日本では、出願をしてから10ヶ月程度で審査結果が返ってきます。ファーストトラック審査に乗せられれば6ヶ月程度、早期審査請求が認められれば2ヶ月程度で審査結果が返ってきますが、通常は1年弱かかります。

一方の中国では、出願をしてから4〜5ヶ月で実体審査結果が返ってきます。中国では年間に800万件以上の出願がされており、一部の案件を優先的に取り扱うファーストトラック審査や早期審査といった制度は設けられておらず、順番に審査がされます。

日本も中国も、審査の早期化に向けて取り組んでおり、以前より早まっているのですが、それなりに時間はかかります。

あるブランドを使った事業化を考え出したら、そのブランドの出願は早期に行っておく必要があります。

中国では審査官に説明したり反論したりすることはできない


実体審査により、審査を通過することになれば次のステージに進みますが、審査で引っかかってしまうと、拒絶理由通知が発せられます。

日本では、その通知内容に対して審査官に反論したり説明したりすることができます。

一方の中国では、拒絶理由通知について審査官に反論したり説明したりすることは認められていません。

事実上、中国での拒絶理由通知は、日本でいう拒絶査定に相当しますので、反論をしたり説明をしたりするためには、不服審判を請求するしかありません。

不服審判に進むとなると、追加で1年くらいの時間を要することになりますので、事業化までの時間にはゆとりを持って出願をしたいですね。

中国では審査を通過すると異議申立のための期間に入る


無事にかようやくか審査を通過すると、中国では、その商標を登録することとして問題ないかについて、一般に意見募集を行います。

意見募集というとポジティブな印象があるかと思いますが、要はその商標を登録して困る人に異議を申し立てる機会を与えるものになります。

日本では、商標登録されてから異議申立ての機会が与えられますが、中国では(というか多くの国では)登録になる前の段階で異議申立てのための期間が設けられます。

中国では登録料の納付は必要ない


日本では、審査を通過すると、登録を受けるために登録料の納付が必要になっています。登録料を納付しないと、出願が却下になってしまうので、期限までに納付することが欠かせません。

一方の中国では、登録料の納付は必要ありません。つまり、中国の当局(知識産権局商標局)に支払う費用は、前回の記事でお伝えした300人民元(約5400円)がミニマムということになります。

日本では登録料を5年分の分割納付とするか10年分の一括納付とするかで費用が変わりますが、それでも最低でも3〜4万円は必要ですので、とても対照的ですね。

まとめ


以上、日本・中国の商標制度について、主だった違いをまとめてきました。

実際には、このほかにも数多くの違いがあるのですが、いかがだったでしょうか。

中国の商標実務はとてもスピード感を持って動いていますので、中国での商標登録を希望される場合には、速やかな対応が望まれます。

中国の商標登録について、ご興味のある方はお気軽に当事務所までご相談頂ければと思います。


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