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091:【個人・事業者向け】日本と中国の商標制度の違い(番外編:商標登録後の管理)

昨日の記事一昨日の記事で、出願から登録までの流れに沿って、日本と中国の違いを解説してきました。

今日は番外編ということで、商標登録を受けた後の管理の場面における違いにフォーカスを当ててみたいと思います。

目次


  • 中国では商標登録を更新できる期間が長い
  • 中国では商標権者の住所・名称は一括して変更する
  • 中国では類似する登録商標は一括して譲渡する
  • まとめ

中国では商標登録を更新できる期間が長い


商標権は、10年ごとに商標登録を更新することで永続させることができます。これは、日本も中国も同じですが、更新手続きを行うことができる期間というのが定められています。

日本では、存続期間が満了する前6ヶ月の期間内に更新手続きを執ることができます。

一方の中国では、存続期間が満了する前12ヶ月の期間内に更新手続きを執ることができます。

つまり、最後の1年に入った段階で更新手続きを進めることができるということです。

なお、日本も中国も、この期限を過ぎてしまっても、6ヶ月間は猶予期間が設けられており、追加費用の支払いを条件に更新することができますので、期限を忘れてしまっていたり、後から気が変わったという場合でも、半年間は問題なく商標登録を更新することが可能です。

中国では商標権者の住所・名称は一括して変更する


商標権者の住所や名称に変更があった時には、商標登録簿の表示を変更する手続きを進める必要があります。

日本では、手続きを進める登録がどれかを選んで進めることができますので、複数持っている商標登録について、順番に一つ一つ表示変更を行うことも認められます。

一方の中国では、同一の名義人の商標登録は、出願中・登録済みの全てについて、一括して変更する必要があります。

さもないと、商標局から補正指令が発せられ、期限までに対応をしないと、他の案件についての表示変更手続きも認められません。

1件2件のものであればさほどの費用ではありませんが、数十件単位で中国の商標登録を保有している企業としては、順繰りに表示変更をすることが認められないということを知っておいて頂き、単年度の予算として計上しておくことが必要です。

中国では類似する登録商標は一括して譲渡する


商標権は、一種の財産権として、譲渡をすることができます。つまり、商標権を対象とする売買が認められます。

現在の日本では、商標権の財産的価値を重視する立場から、どの商標権をどのように譲渡するかについて、画一的な規制はありません。

したがって、同じ商標について、類似する商品にも関わらず複数の個人ないし団体が互いに商標権を保有するということも許容されます。

一方の中国ですが、中国では、同一または類似の商品について登録された同一または類似の商標を一括して譲渡しなければならないと規定されています(中国商標法42条)。

複数ある商標登録のうち、一部のみを対象に譲渡の申請を行い、商標局が他に同一・類似商標があることを確認すると、商標局は補正指令を命じ、一括して譲渡をするよう求めます。

これに応じない場合、他の案件についての譲渡手続きも認められませんので、譲渡を行う場合には、対象案件を精査して、抜け漏れがないように手配をする必要があります。

まとめ


以上、商標登録がされた後の規制について、日本と中国の違いをお伝えしてまいりました。

隣国とはいえ、かなり実務のあり方が違うということを感じて頂けましたでしょうか。

外国に進出する時には、このように各国の実務に精通した専門家に相談をして進めていくことが非常に大切になります。


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