取消2018-300152:不使用取消審判(50条:商標の同一性)

日本では、継続して3年以上、登録商標を適正に使用していない場合、第三者から請求があった時には、その商標登録が取り消しとなります。その取り消しを求める審判のことを「不使用取消審判」と言います。

この事件では、使用している商標が、上記の登録している商標と社会通念上同一と言えるか争点となりました。使用している商標と、登録している商標を整理すると以下のとおりです。

使用商標

① FENICS
② FENICS(フェニックス)

登録商標

フェニックス

この事件で特許庁は、以下のように判断し、商標登録を取り消すとの判断をしました。

これは、登録商標のカタカナ文字については、付記的に使用されているものであって、サービスの出所を表すものとしては使用されていないとして、商標登録を取り消すと判断された事例です。

 被請求人のウェブサイトのプリンアウト(乙2)、カタログ(乙3)には、『FENICS(フェニックス)』とは、『Fujitsu Enhanced Information and Communication Services』の略称であり、富士通が提供する企業向けネットワークサービスの総称です。」及び「FENICSの歩み/1985年に電気通信事業に参入し、『FENICS(フェニックス)』という名称でVANサービスの提供を開始しました。」との記載(乙2)や、「FENICS」の欧文字の上段に小さく、「フェニックス」の片仮名が記載(乙3)されていることが認められるものの、これらの「フェニックス」の片仮名は、いずれも「FENICS」の読みを特定するために付記的に記載されているものであって、「フェニックス」の文字が単独で被請求人の業務に係る役務の出所表示として使用されているものとはいい難い。
 そして、他に、被請求人が提出した乙各号証中に「フェニックス」の文字が被請求人の業務に係る役務の出所表示として独立して使用されている事実を見いだすことはできない。
 してみれば、乙第2号証、乙第3号証中に記載されている「フェニックス」の文字をもって、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用ということはできない。

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