海外商標業務

商標の保護を受けるためには商標登録が欠かせません。日本での保護のためには、日本の商標法に基づいた手続が必要です。しかし、日本の商標法は日本の領域ないのでのみ効力を発揮しますので、日本で発生した商標権の効力は外国には及びません(属地主義)。外国で発生した商標権が日本国内で効力を生ずることがないことも同様の理由です。

このことから、たとえ日本国内で商標権を保有していたとしても、展開しようとする国・地域での商標権を取得しないことには、商標に関するリスクを抱えたままの状態となってしまいます。よって、海外で事業を行おうとする場合には、第一にその進出国で商標権の確保を図り、商標についての保護を確実なものとする必要があります。

日本においては半年ないし1年程度で商標登録に至ることが可能な状態が続いていますが、国によっては数年を要するところも少なくありません。このため、海外への進出が実現する遥か前から、早期に商標登録に向けて対応をしておくことが望ましいと言えます(さもないと進出してから当該国で商標権侵害状態が明らかになって商標変更・紛争対応などの対応が求められかねません)。

また近年では、必ずしも著名とまでは言えない日本のブランドを狙い撃ちした、無関係な第三者による先取り的な商標出願が問題になっています。無関係な第三者に重要なブランドの商標について先取り出願をされてしまうと、商標権を取り返すために莫大な時間とコストがかかってしまいます。たとえ、幸いにして商標権の奪還が叶ったとしても、そのために海外進出が遅延することはご想像に難くないと思われますし、不幸にも奪還が叶わなかった場合には、海外進出が頓挫することにもなりかねません。

まさか我が社のブランドが」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、気がついた時には先に出願されていたということは決して他人事ではありません。将来的に海外展開が視野に入っているのであれば、先取り出願がなされる前に、自らの権利を確保しておくように対応しておくことが、賢明な経営判断であると言えるでしょう。

弊所では、日本の企業が海外に展開するために欠かせない外国での商標登録に関して、以下のとおり多くのメニューを用意しております。詳しくはお問い合わせください。

諸外国で登録を受けるべき商標・範囲の特定


諸外国において商標の保護を受けるためには、単に日本での登録と完全に同じ内容で商標登録を受ければいいというものではありません。日本で登録を受けている商標をそのまま海外でも使うのかなど、海外展開の際には検討すべき事項が複数存在します。このため、諸外国における商標権による保護を確実なものにするためには、その国・地域ごとに登録を受けるべき商標をまず特定することが必要です。また、その商標をどのような商品・サービスについて使用するものであるかの特定も欠かせません。弊所では、クライアントのビジネスの内容や将来への展望をお伺いし、過不足のない、必要十分な商標登録に向けたご提案を致します。

諸外国での商標調査


スクリーニング調査(Screening Search)

海外での使用を希望する商標の候補が多数ある場合に、候補の絞り込みを行う必要があります。多数の国・地域をカバーする海外の商標データベースにおいて、類似度が極めて高い先行商標が存在するかを検討することは、スピーディに候補の絞り込みを行うことに有益です。最短即日で結果をご報告致します。

簡易商標調査(Knock-out Search)

海外での使用を希望する商標の候補が既に絞られている場合に、類似度が高い先行商標が存在するかをまず検討することは、スピーディな意思決定に有益です。最短即日で結果をご報告致します。

登録・使用可能性調査(Availability Search)

海外での使用を希望する商標の候補が既に絞られている場合であって、類似する先行商標の有無や商標の識別力についての専門家判断をご希望の場合に推奨される調査です。この調査では、展開を希望される国・地域の現地代理人による調査を踏まえて、商標登録を受けることができるか、及び、商標を使用することができるかについて、検討を行います。

フルサーチ(Full Search)

展開を希望される国・地域における特許庁・知財庁のデータベースのみならず、データベースに登載されていない商標の使用についてまで検討を行う調査です。この調査は、現実の使用に基づいて商標権が発生する国におけるリスク検討を詳しく行いたいという場合に実施されるものとなります。

諸外国への直接出願(パリルート)


出願に向けた準備・現地代理人を通じた現地特許庁・知財庁への手配

直接出願の場合は、商標出願を行う国の弁理士・弁護士などの現地代理人を選任し、的確に指示を行う必要があります。弊所では、外国出願用の指定商品・指定役務リストを英語にて作成し、現地代理人へ手配を行います。現地代理人を適切にコントロールをし、貴社のご意向を正確・確実に伝えるとともに、スムーズな出願手続の実行に向けて対応を進めます。

審査結果に対する応答手続

商標出願に対して、現地特許庁・知財庁から局通知(Office Action)を受け取った場合でも、現地代理人と緊密な連携を図りながら、現地実務を踏まえた指定商品・指定役務の補正や意見書による反論などを行い、拒絶理由の克服・解消に向けて最善を尽くします。

審査通過後の手続

審査を無事に通過した後も、異議申立のために一定期間の公告に付されたり、登録料を納付したりなど、国によって登録を受けるために経なければならないステップが異なります。弊所では、無事に登録まで導けるよう、現地代理人と最後まで緊密な連携を図ってまいります。

諸外国への国際出願(マドプロ出願)


本国官庁(日本国特許庁)に対する国際出願手続

マドリッド協定議定書(マドリッド・プロトコル)に基づく国際出願を行う場合は、直接出願とは異なり日本国特許庁へ、英語で作成した専用の願書を提出します。弊所では、国際出願用の指定商品・指定役務リストを英語にて作成し、特許庁への国際出願手続を遂行します。

世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局に対する応答手続

日本国特許庁において認証を受けた国際出願の願書は、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization, WIPO)に送付されます。WIPOにおける審査において補正指令(欠陥通報)が発せられた場合でも、適切な補正・意見の上申を行うことにより、国際登録まで導きます。

指定国官庁(出願国の特許庁・知財庁)に対する応答手続

国際登録を受けた後は、出願を行う国の審査に移行します。現地特許庁・知財庁から暫定拒絶通報(Notice of Provisional Refusal, Office Action)を受け取った場合でも、現地代理人と緊密な連携を図りながら、現地実務を踏まえた指定商品・指定役務の補正や意見書による反論などを行い、拒絶理由の克服・解消に向けて最善を尽くします。

審査通過後の手続

審査を無事に通過した後も、異議申立のために一定期間の公告に付されるなど、国によって登録許可を受けるために経なければならないステップが異なります。弊所では、無事に登録許可まで導けるよう、現地代理人と最後まで緊密な連携を図ってまいります。また、必要に応じて、現地特許庁・知財庁に対する登録証明書の発行を承ります。

登録後の維持管理


商標の使用宣誓手続

米国・フィリピンなど、一部の国では、商標登録の維持のために、定期的に当該国内において商標を使用していることを証する宣誓書の提出を要求しています。弊所では、登録後の使用宣誓手続も、現地代理人と緊密に連携を図りながら手配を致します。公証役場・領事館等における公証・認証もお任せください。

商標登録の更新手続

多くの国で、商標登録の存続期間は10年とされます。しかし、商標登録は、適切な期間内に更新手続を執ることで、存続期間の延長を行うことができます。直接出願・国際出願のどちらの案件であっても、外国商標登録の更新手続もお任せください。

商標登録に関する審判・異議申立・訴訟手続


拒絶査定不服審判

局通知・暫定拒絶通報に対する反論によってもなお拒絶理由が解消せずに拒絶査定となった場合、現地特許庁・知財庁の審判部に対し、審査官の最終判断の是非を問うことができます。弊所では、現地代理人と緊密に連携しながら、現地実務を踏まえ、審査官の判断の妥当性を徹底的に争い、登録が認められるよう最善を尽くします。

商標登録異議申立

商標登録が過誤によりなされる場合には、異議申立により登録を阻止することができます。多くの国では、登録に至る前に異議申立の機会が与えられます。弊所では、現地代理人と密に連絡を取りながら、現地実務を踏まえ、商標登録の維持・取消に向けて徹底的に争います。

商標登録無効審判

商標登録に無効理由がある場合には、登録を無効にすることができます。無効審判は、各国の法令で定める所定の期間内に提起することが求められます。無効審判を請求された場合には、適時に答弁書を提出することが求められます。弊所では、現地代理人と密に連絡を取りながら、現地実務を踏まえ、商標登録の有効・無効について徹底的に争います。

不使用取消審判

登録商標が3年(国により5年)以上継続して適切に使用されていない場合、商標登録の取り消しを求めることができます。不使用取消審判を請求された場合には、適時に使用証拠とともに答弁書を提出することが求められます。弊所では、現地代理人と密に連絡を取りながら、現地実務を踏まえ、商標登録の維持・取消に向けて徹底的に争います。

審決取消訴訟

上記の各審判の結果に不服がある場合でも、現地代理人と密に連絡を取りながら、現地の裁判所に対して、審決の取消判決を求めて戦ってまいります。

権利侵害・模倣品対応


被疑侵害者に対する警告

貴社商標権を侵害すると目される第三者を発見した場合、現地代理人と連携をして、侵害行為の即時停止(及び必要に応じて損害の賠償)を求めてまいります。貴社が警告を受けた場合でも、貴社の利益を守るため、最善を尽くして対抗してまいります。

商標権侵害行為の行政摘発

悪質な商標権侵害行為が確認された場合、国によっては行政機関の協力を得ながら、侵害行為の撲滅を図ります。

商標権侵害物品の税関差止

商標権を侵害する模倣品・偽物が国境を超えて流通している場合には、世界各国の税関において輸出入の差止の申立を行います。

商標権侵害訴訟

商標権侵害行為について、警告によっても解決しない場合には、現地代理人と連携をして、侵害行為の即時停止(及び必要に応じて損害の賠償)を求めて裁判所に出訴します。貴社が訴訟提起を受けた場合でも、貴社の利益を守るため、最善を尽くして対抗してまいります。

助成金・補助金の申請支援


諸外国における商標権の取得に関しては、JETROや自治体、公社などから助成金が用意されています。また、先取り出願対策のための助成金も用意されています。弊所では、必要に応じて税理士・中小企業診断士等の専門家とも協力を行いながら、助成金・補助金の取得による資金調達の支援も行なっています。

その他


上記に記載のないものでも、できる限り対応致します。弊所までお気軽にお問い合わせください。

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